ペアローンと任意売却、そして司法書士の関わりについて
ペアローンと任意売却、そして司法書士の関わりについてわかりやすく解説します
家を買うとき、たいていの人は自分の貯金だけでなく、銀行などからお金を借りてその家を購入します。これを「住宅ローン」と呼びます。でも、一人で借りられる金額には限界があるため、夫婦が協力してお金を借りて家を買うという方法が広まっています。これが「ペアローン」という仕組みです。
ペアローンとは?
ペアローンは、例えば夫婦がそれぞれ自分の名前で別々に住宅ローンを組んで、一つの家を買う方法です。たとえば、夫が3000万円、妻が2000万円借りて、合計5000万円の家を買うというようなケースです。この仕組みを使うと、夫婦の収入を合計して借り入れ額を増やせたり、税金の優遇をそれぞれに受けられたりすることがあります。
ただし注意が必要なのは、ペアローンはあくまで「別々のローン」であるということです。つまり、夫婦それぞれが独立して借りていることになるので、もし一方の収入が減ったり、病気や離婚などで状況が変わった場合でも、もう一方が代わって自動的にそのローンを引き受けることはできません。支払いが難しくなると、家を手放すことも視野に入れる必要が出てきます。
ローンが払えなくなったらどうする? 任意売却という選択肢
住宅ローンの返済ができなくなると、通常は家が「競売」にかけられる可能性があります。競売は、裁判所を通じて強制的に家を売る仕組みで、通常よりもかなり安い価格で売られてしまうことが多いです。しかも、競売には突然の通知や、知らない人が家を見に来るといった精神的な負担もあります。
そこで出てくるのが「任意売却」という方法です。これは、まだローンの残りがある状態でも、銀行などの同意を得て、自分の意思で家を売却する方法です。競売に比べて市場価格に近い金額で売れる可能性が高く、借金を減らしやすいという利点があります。
任意売却を進めるためには、銀行や不動産会社などと協力して手続きを進める必要があります。早めに行動することで、生活の再建もしやすくなります。
任意売却と司法書士の関わり
任意売却を進めるときには、さまざまな手続きや調整が必要です。そこで大きな役割を果たすのが「司法書士」という法律の専門家です。司法書士は、不動産に関する登記や、法的な書類の作成を得意とするプロです。
任意売却では、次のような場面で司法書士が関わります。
1. 抵当権の抹消手続き
住宅ローンを組むときに、銀行は家に「担保」としての権利(抵当権)をつけています。家を売るには、この権利を消す手続きが必要です。司法書士は、その抹消手続きを担当します。
2. 新しい所有者への登記
家を買った人に所有権を移すための登記も、司法書士が行います。任意売却の場合、複数の権利関係が絡むことが多いため、法律の知識が欠かせません。
3. 関係者との調整や助言
場合によっては、ローン以外にも税金の滞納によって市役所などから「差押え」がかかっていることもあります。そういったケースでは、関係者すべての同意がないと家は売れません。司法書士は、そうした調整の助けにもなります。
4. 契約書などのチェックとアドバイス
任意売却には多くの書類が必要ですが、それぞれが正確でないとトラブルにつながります。司法書士はこれらを確認し、安全に取引を進められるようサポートします。
5. 売却後の借金に関する相談対応
家を売ってもローンが残る場合、その後の支払い方法や、法的な整理(たとえば自己破産や債務整理)を考えることになります。そのような相談にも、司法書士は応じてくれることがあります。
ペアローンと任意売却、そして司法書士はどう関係する?
ペアローンで家を買った場合、ふたりそれぞれが別々のローンを抱えていることになります。そのため、任意売却を進めるには、ふたりの同意が必要になります。もし夫婦間で意見が合わなければ、売却を進められないこともあります。また、離婚後もローンの返済義務は消えないため、どちらかが住み続けていても、もう一方にも支払いの責任が残ることがあります。
こういった複雑な事情があるときこそ、司法書士などの専門家に相談することが重要です。早い段階で相談すれば、精神的な負担も軽くなり、前向きな解決がしやすくなります。
まとめ
ペアローンは夫婦などが協力して家を買うための便利な方法ですが、収入の変化や生活環境の変化によって、ローンの返済が難しくなるリスクもあります。そうしたときに使えるのが「任意売却」という方法で、競売を避けてより良い条件で家を手放すことができます。
その際、司法書士は手続き面だけでなく、法律的な調整や相談にも対応してくれる心強い存在です。ペアローンと任意売却、そして司法書士の役割を正しく理解しておくことで、もしものときに落ち着いて対応できるようになります。